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『政治家の条件』伊勢新聞に書評

政治家の条件 書評


伊勢新聞は、尾崎行雄を60年以上にわたり国会に送り続けた伊勢を中心に長年親しまれ、読まれ続けている日刊紙です。

去る6月5日、拙著『政治家の条件―議会政治の父・尾崎行雄に学ぶ「有権者の心得」―』が取り上げられ、書評が掲載されました。

丁寧かつ簡潔明瞭にまとめられ、私が最も伝えたい部分を的確に示して頂いています。
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 尾崎行雄(一八五八―一九五四)の自由主義と軍縮・不戦の信念、生き方を振り返る。「有権者一人一人の一票に、憲政を活殺する力がある」という尾崎の視点で教訓を導く。・・・

 「国民の権利を拡張し、各人が自らの能力を存分に発揮できるようにする。そうした自由主義観が尾崎の根底にはある」という。・・・

 第一次大戦後の欧米視察で軍縮論者に転換。「世界が国際協調と軍縮の方向に舵を切ろうとする中、日本だけが逆行するのは得策ではなく、また国内の財政的負担も大きいと考えたからだ」。・・・

 演説の名手で、・・・「事実と根拠を冷静に示し、論理的に問題の本質を突いていく」話し方だった。・・・

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尾崎行雄と縁の深い新聞社に取り上げて頂き光栄です。
この場を借りて御礼申し上げます。


◆『政治家の条件』は、全国の書店(お取り寄せもできます)ならびにオンライン書店でお求め頂けます。
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「憲政記念館・代替施設」が開館

尾崎行雄記念財団が寄付を募り、全国から寄せられた浄財で建設した「尾崎記念会館」。1960年の完成と同時に衆議院に寄贈されました。その後、新館が増築され、1972年に「衆議院 憲政記念館」として開館、現在に至ります。

その憲政記念館が建て替えのため今年(2022年)1月末から休館し、5月下旬から工事が始まりました。建物は全て解体され、今から約6年かけて現在の敷地に「新たな国立公文書館」とともに新・憲政記念館が建設されます。(2028年度中に開館予定)

この建替工事に伴い、「憲政記念館・代替施設」が国会参観バス駐車場横に造られ、ついに昨日(6月2日)開館しました。

代替施設は、あくまで一時的なもので、延床面積もこれまでより小さく、展示物も少なくなっていますが、その分、随所に工夫が施され、見やすく、分かりやすく、子供から大人まで楽しめるような作りになっています。

オープンの前日、内覧会が開催され、衆議院議長・副議長、議院運営委員ほか多くの関係議員が出席しました。議長の挨拶、テープカットの後、憲政記念館(衆議院事務局)の皆さんによる丁寧な説明を受けながら、私も一緒に展示室や会議室などをまわりました。この代替施設の開館に向けて、憲政記念館の皆さんが大変苦労されていたのを知っている分、感慨もひとしおでした。

ところで、今年1月26日、「現憲政記念館に対する感謝の会」が、岡田憲治・衆議院事務総長のもと、関係者のみで開催され、現館長・元館長、私など6名ほどが出席しました。そこで、これからの新記念館建設に向けての思いを話すよう求められ、以下の通り述べました。

「これからのことを申し上げますと、どんなに立派な建物ができても、そこに魂がこもらないとただのコンクリートですから。この憲政記念館が新しくなるに当たって、今までどういう思いでここが造られてきたのか、運営されてきたのか、どういう先人たちの知見や経験がここに埋まっているのか、そして尾崎行雄を始め当時の議会制民主主義の発展に尽くした数多くの政治家、思想家、研究者、こういった方々の思い、理念、そういったものを我々は受け継ぎ、語り継いでいく使命があるんだと思います。その意味では、憲政記念館にしっかりと魂を入れていく。令和10年度にここにどんな立派な建物ができても、そこに我々が魂を宿していかないと意味がないと思っています」
(「憲政だより・時計塔」令和4年春季 No.030 より抜粋)

ぜひ、この「憲政記念館・代替施設」にもお越し頂き、皆様の手で魂を宿し、先人の思いを受け継ぎ、語り継いでいってください。

新刊『政治家の条件―議会政治の父・尾崎行雄に学ぶ「有権者の心得」―』(石田尊昭著)のご案内

この度、尾崎行雄記念財団の活動の一環として、拙著『政治家の条件―議会政治の父・尾崎行雄に学ぶ「有権者の心得」―』が刊行されました。

本書は「議会政治の父」「憲政の神」と呼ばれる尾崎行雄の信念や生き方を振り返り、現在の、そしてこれからの日本に求められる政治を検討したものです。
議会政治の原点に立ち戻り、政治家と有権者の「あるべき姿」を追求しています。

(すでに予想を上回る多くの方々にお読み頂いております。心より感謝申し上げます。 また、お読み頂いた国会議員や地方議会議員の方々からもお手紙や直接お電話を頂戴しております。この場を借りて、皆様に厚く御礼申し上げます。)

石田尊昭 政治家の条件
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著 者: 石田尊昭
発 行: 2022年5月15日
出版社: 世論時報社
四六判/ソフトカバー/150頁
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第1章 危機に直面した政治
第2章 議会政治の父に学ぶ
第3章 尾崎行雄の生涯
第4章 尾崎行雄が目指した政治
第5章 本質を見極める力
第6章 揺るぎない信念
第7章 胆力と不屈の精神
第8章 全体と将来を見通す力
第9章 尾崎行雄「議員の資格十カ条」
第10章 咢堂言行録二十選
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◆ご購入については下記(1)または(2)で

(1)尾崎行雄記念財団公式サイトに掲載してあるチラシをご利用下さい。特別割引が適用されます。7月末まで。

(2)全国書店でのお取り寄せ、またはオンライン書店で(下記以外でも)お求め頂けます。

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ぜひともご購入頂き、また、ご友人・お知り合いの方へおすすめ頂ければ幸いです。


尾崎行雄と憲政記念館

以下は、尾崎の選挙区・伊勢を中心に咢堂精神の普及に努める「NPO法人咢堂香風」の機関紙『咢堂香風』(2021年6月30日発行)に掲載された文章に加筆したものです。
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「尾崎行雄と憲政記念館」

 国会議事堂の向かい側にある憲政記念館は、もともとは憲政の父・尾崎行雄を記念する「尾崎記念会館」として建てられたものである。今から約60年前、同館の建設に向け、尾崎行雄記念財団が全国に寄付を呼びかけた。超党派の国会議員・地方議会議員、経済界、労働界、教育界、全国の小中学生、海外日系人など幅広い層から浄財が寄せられ、さらに天皇陛下の御賜下金を得て1960年に完成。同時に衆議院に寄贈された。
 正門を入ると、議事堂に向かって立つ尾崎行雄の銅像が出迎えてくれる。その凛とした姿は当時も今も変わらない。ただ、国会を見つめるその眼差しは、ますます厳しさを増しているようにも思える。
 

■憲政の父・尾崎行雄

 尾崎行雄は、1890年の第1回総選挙から第25回まで連続当選し、60年以上にわたり衆議院議員を務めた。その当選回数と議員在職年数は、日本の議会史上、未だ誰にも破られていない偉大な記録である。だが、憲政記念館にある尾崎の銅像も展示物も、単に尾崎の記録を褒め称えるためのものではない。尾崎行雄の思想と行動を冷静に見つめ直し、その中から現代に生かすべきものを見つけ出すことが重要だ。
 尾崎は、立憲政治の確立を唱え続けた政治家である。特権的勢力が思うがままに振る舞う「人の支配、力の支配」ではなく、憲法に基づく「法の支配、道理の支配」を主張した。立憲政治の最大の目的は、この「法の支配」を通じて、国民の生命・財産・自由その他の権利を保障することにある。それを実現する最善の方法は、尾崎曰く「人民から代表を出して、その代表がつくった法律による以外は税金を課したり使ったりできず、また牢に入れることもできないようにすること」である。その代表は有権者の投票によって選ばれるため、立憲政治は「有権者中心の政治」であると尾崎は言う。
 立憲政治の確立に向けて政党・政治家のあるべき姿を説いた尾崎は、同時に、政治家を選ぶ「有権者のあるべき姿」を説き続けた。


■尾崎行雄の政党観

 尾崎は、立憲政治を「立法部の多数を基礎とする政党内閣」が行う政治であるとし、政党の役割を重視した。藩閥・軍閥勢力を排するには近代的な政党組織が必要であると考え、政党のあるべき姿、公党の精神を説くとともに、自らがそれを実践していった。
 尾崎は目まぐるしく所属政党を変えている。そして最も長く過ごした期間は「無所属」だった。政党を転々とし、また設立・解散、脱党・復党を繰り返す尾崎は変節漢と非難された。だがこれは、自身の利害得失や感情・しがらみに基づいた行動ではなく、公党としてのあり方、国家国民本位の政策実現を求めた結果である。
 尾崎は、亡くなる4年前(1950年)、次のような短歌を詠んでいる。

 「国よりも党を重んじ
   党よりも身を重んずる人の群れかな」

 70年前の歌が現在の日本に当てはまるとすれば、国民にとっては悲劇以外のなにものでもない。選挙が近づくたびに、他の政党に移ったり、新たなグループを立ち上げたりする議員が必ず出てくる。また政党の離合集散も繰り返される。そうした行動は必ずしも悪いこととは言えない。問題は、彼らが一体何を目指し、どういう動機で動いているか、ということだ。
 国家国民のための政策実現を求めての行動か、それとも、ただただ自身の当選、自己保身を求めての行動か。与野党問わず、国家・社会のあり方と政策を提示し、論争・競争するのが政党(公党)の役割だ。「公」ではなく「私」のために、政策実現よりも自己保身のためになされる数合わせや離合集散は、国民の政党不信、政治家不信を助長させるだけである。
 尾崎が目指した公党のあり方―「金や数の力、親分子分のしがらみ、個人の利害」ではなく「道理と政策」で競い合える政党を育むことを今一度、政治家も有権者も考える必要があるだろう。


■憲政記念館リニューアル

 冒頭に述べた憲政記念館は、来館者一人一人が、我が国の議会政治の歴史とともに、尾崎の信念や生き方を振り返り、有権者として(あるいは政治家として)自らの行動に役立てていく場でもある。この憲政記念館は、来年(2022年)からリニューアル工事に入り、2026年度中に完成する予定である。現在の敷地に国立公文書館と合築となるが、現記念館のデザイン・特徴を継承し、尾崎の銅像も現在の形のまま館内に設置される予定である。ちなみに、来年4月からは、国会参観バス駐車場横(現記念館の向かい側)に「憲政記念館・代替施設」が開館する。そちらにもぜひご来館頂きたいが、何よりも、「尾崎記念会館の面影」を残す現記念館に、今年中にお越し頂き、60年の歴史に思いを馳せて頂ければ幸いである。(現在、同館では「憲政記念館ふりかえり展」を開催中)

(2021年5月末記)


61年目を迎えた「霞ガーデン」、グランドフィナーレ!

国会議事堂の正面向かい側にある憲政記念館。
その前身は、1960年に建てられた尾崎記念会館です。

「憲政の神」「議会政治の父」と呼ばれた尾崎行雄は1954年に逝去。2年後に尾崎行雄記念財団が発足。全国に寄付を呼びかけ、4年後の1960年に尾崎記念会館が完成しました。

そのスタートと同時に館内レストランとして営業を開始し、今年で61年目を迎えた「霞ガーデン」。本日3月5日が最後の営業となりました。

ここは、私にとって特別な思い出の場所です。

ちょうど25年前、財団事務所を初めて訪れた時、尾崎行雄三女の相馬雪香さんに誘われてお茶を飲みに行きました。私はホットコーヒーをブラックで、相馬さんは紅茶にたっぷりミルクを入れて・・・。

その日から、相馬さんが亡くなるまでの12年間、月2~3回は、霞ガーデンで一緒にランチをしました。私はほとんど日替わりランチ、相馬さんは大体オムライスのハヤシソースかけでした。このオムライス。ふわふわトロトロの卵の横に、香りのいいハヤシソースがたっぷり。いつの間にか、霞ガーデンの看板メニューになり、今日も多くのお客さんがオムライスを堪能していました。

ランチの時も、相馬節は健在です。民主主義とは何か。日本の何が問題なのか。ずーーーーっとそんな話ばかり。そして最後は、「石田さん、彼女いるの?」と聞かれ、「いません」と答えると、「なんで?」と聞かれ、「じゃあ紹介して下さい」と言うと、「私の周りは婆さんばっかりだよ、あははは」、私も「あははは」。毎回これがランチ終了の合図です。

さて、もう一つの思い出。
相馬さんと縁のある国会議員の事務所で、秘書をしていた女性と初めてランチしたのが、この霞ガーデンでした。彼女はカレーライス。私は相変わらず日替わりランチ。

今日が営業最後ということで、昨晩、妻に「初めて行ったとき何食べたか覚えてる?」と聞くと、「え?あ、う~ん、なんか食べたっけ?」。。。

ちょうど今くらいの時期、霞ガーデンの外に咲く桜の下でプロポーズしたのを思い出し、もちろん相馬さんとの思い出にも浸りながら、今日、霞ガーデン最後の昼食をとりました。今日いただいたランチメニューは、やっぱり相馬さんの思い入れのあるオムライス、、、、ではなく、妻が最初に食べたカレーライス、、、、でもなく、厚切りチャーシューの醤油ラーメン!美味しかったです!

霞ガーデン、長い間、本当にありがとうございました!

プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭 政治家の条件
石田尊昭『政治家の条件』
(2022年)


石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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