「真の政党とは何か」―尾崎咢堂言行録(4)
尾崎行雄は、日本に真の民主政治を根付かせようと尽力した政治家である。
真の民主政治を実現させるためには、真の政党が不可欠だ。尾崎は、「私党ではなく公党を」と常に訴え続け、自身も、属する政党と葛藤を繰り返してきた。尾崎が政党を転々とした理由の一つもそこにある。
今回、その政党に対する尾崎の考え方を紹介する。もちろん、これは導入部分に過ぎない。尾崎の政党観、その全体像については、今後も随時掲載していきたいと思う。
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「真の政党とは何か」
立憲政治に政党はつきものである。つきものというよりも、立憲政治は政党がなければ、やっていけない政治である。 明治憲法では、内閣総理大臣の任免は天皇の大権に属し、必ずしも政党の首領でなければ総理大臣にはなれぬという決まりはなかった。それにもかかわらず、明治憲法を本当に活かそうとすれば、どうしても政党政治を実行するより外に道はなかった。もっとも一時的に、いわゆる政党内閣時代を実現したこともあったが、それはただ外形がそう見えただけで、実質的な政党内閣はまだ一度も実現せずに、明治憲法は終わりを告げた。
なぜ明治憲法の下で真正の政党政治が行なわれなかったのであろうか。藩閥や元老や軍閥等の封建的勢力が、強く政党政治の成長を妨害したためであるというが、そんな封建的勢力をはねのけて政党政治を実現することが政党の使命である。それをはねのけることが出来なかったのは、政党が無力だったからである。否、日本に真の政党がなかったからである。
私はほとんど過去半世紀以上にわたり、あらゆる非立憲的勢力をはねのけて、名実かねそなわる政党政治を実現することに挺身(ていしん)してきた。そしてこの目的を達するためには、なんとしても本当の政党をつくらねばだめだと思って、ずいぶん骨を折ってみたが、どうしてもだめであった。政党の形だけはすぐできるが、それに公党の魂を入れることがどうしてもできない。なぜだろうと考えてみた。
思うに、それは日本人の思想感情がまだ封建時代をさまよっているために、利害や感情によって結ばれる親分子分の関係と同型の私党はできても、主義政策によって結ばれ、国家本意に行動する公党の精神は、どうしても呑み込めないのであろう。力をめぐって離合する感情はあっても、道理をめぐって集散する理性がないからであろう。
以上、『民主政治読本』(1947年・昭和22年)より抜粋
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真の民主政治を実現させるためには、真の政党が不可欠だ。尾崎は、「私党ではなく公党を」と常に訴え続け、自身も、属する政党と葛藤を繰り返してきた。尾崎が政党を転々とした理由の一つもそこにある。
今回、その政党に対する尾崎の考え方を紹介する。もちろん、これは導入部分に過ぎない。尾崎の政党観、その全体像については、今後も随時掲載していきたいと思う。
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「真の政党とは何か」
立憲政治に政党はつきものである。つきものというよりも、立憲政治は政党がなければ、やっていけない政治である。 明治憲法では、内閣総理大臣の任免は天皇の大権に属し、必ずしも政党の首領でなければ総理大臣にはなれぬという決まりはなかった。それにもかかわらず、明治憲法を本当に活かそうとすれば、どうしても政党政治を実行するより外に道はなかった。もっとも一時的に、いわゆる政党内閣時代を実現したこともあったが、それはただ外形がそう見えただけで、実質的な政党内閣はまだ一度も実現せずに、明治憲法は終わりを告げた。
なぜ明治憲法の下で真正の政党政治が行なわれなかったのであろうか。藩閥や元老や軍閥等の封建的勢力が、強く政党政治の成長を妨害したためであるというが、そんな封建的勢力をはねのけて政党政治を実現することが政党の使命である。それをはねのけることが出来なかったのは、政党が無力だったからである。否、日本に真の政党がなかったからである。
私はほとんど過去半世紀以上にわたり、あらゆる非立憲的勢力をはねのけて、名実かねそなわる政党政治を実現することに挺身(ていしん)してきた。そしてこの目的を達するためには、なんとしても本当の政党をつくらねばだめだと思って、ずいぶん骨を折ってみたが、どうしてもだめであった。政党の形だけはすぐできるが、それに公党の魂を入れることがどうしてもできない。なぜだろうと考えてみた。
思うに、それは日本人の思想感情がまだ封建時代をさまよっているために、利害や感情によって結ばれる親分子分の関係と同型の私党はできても、主義政策によって結ばれ、国家本意に行動する公党の精神は、どうしても呑み込めないのであろう。力をめぐって離合する感情はあっても、道理をめぐって集散する理性がないからであろう。
以上、『民主政治読本』(1947年・昭和22年)より抜粋
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