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学校での主権者教育について

『18歳からの投票心得10カ条』の出版元(世論時報社)発行の月刊誌『世論時報(せろんじほう)』に、主権者教育に関する私のインタビューが掲載されています。以下は、その一部抜粋です。
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『世論時報』平成28年6月号 特集「18歳からの選挙が始まる」
石田尊昭インタビュー(聞き手/本誌・河田英治)

■授業は「きっかけづくり」

――昨年、選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられ、改めて、学校における「主権者教育」のあり方が問われていますが、このことについてどのように思いますか。

(石田)学校の授業として行う主権者教育では、生徒たちに、「民主主義とは何か」という本質的な問いかけも含め、実際の社会的課題や政策について「考え、悩む時間」を与えることが重要だと考えます。
 主権者教育の目的は、政治・政策の問題を自分の頭でしっかりと考え、意見を出し合い、異なる意見や少数意見にも耳を傾けるという民主的態度を生徒に身に付けてもらうことです。
 主権者教育は、授業の中だけで完結できるものではありません。むしろ授業以外のところで、政治・政策について生徒たちが日常的に考え、議論することが求められます。授業は、それを促すための「きっかけづくり」と考えるべきでしょう。
 …言うまでもありませんが、授業の目的は、生徒に政治用語を暗記させたり、政治・政策上の何らかの「答え」を出させることではありません。生徒自身が、政治・政策の問題を身近に感じ、日常的に考え、悩み、調べ、意見を出し合えるようになること。そのきっかけとなるような学びや体験(議論の経験)を授業で提供することが必要です。

■授業における政治的中立性とは

――以前から指摘されていたことは、「政治的中立性」を、教員がどのように受け止め、教えられるかということでした。

(石田)政治的に中立な授業というのは、「政治・政策に対する意見表明(価値判断)を扱わない授業」ということではありません。その逆です。ある社会的課題や政策について、生徒たちに積極的に意見を出し合ってもらうことが必要です。
 原発・エネルギー、消費税、社会保障、安全保障など、いずれも政治的に対立している現実の政策テーマです。例えば、「サマータイム制導入の是非」とか「地域活性化に向けて」とか、また「日本のエネルギーの未来を考えよう」といったように、あえて政策的争点を伏せた形で議論を深めることも悪くはありません。しかし、実際の選挙においては、政策的争点を考えないわけにはいきません。授業では、政策の見方や、何が争点なのかを考える訓練も必要です。
 中立性を保つということは、政治的対立、政策的争点を見せないことではありません。政治・政策には多様な意見があるということを共有しながら、それぞれの意見を公平に扱う(特定の意見に肩入れしない)ということです。
 そこでは、ある政策について「メリット・デメリットは何か。誰に、どういう割合で受益と負担が生じるのか」といった「政策の見方」を示すことが必要です。そのうえで、その政策のどこが対立しているのか、賛成・反対それぞれの意見・理由を生徒たちに示し、じっくりと考え、意見を出し合ってもらい、さらに調べてもらう(調べたいと思ってもらう)ことが重要です。

■メディア・リテラシーを育むこと

――政治・政策について、授業の中で議論する場合も、また、授業以外で生徒たちが自発的に考え、調べる場合も、どういう情報をもとに行うべきかという問題については、どのようにすればよいですか。

(石田)政治・政策に関する情報は、通常、私たちはメディア(情報媒体)から手に入れます。…膨大な情報の中には、正確なものもあれば不正確なものもあります。また、事実もあれば、そうでないものもあります。さらに、情報の受け手の印象を操作して、ある一定の方向に意見(価値判断)を誘導しようとするものもあります。
 各種メディアの特性や長所・短所を知ったうえで、情報を適切に識別し、評価・判断する能力を「メディア・リテラシー」と言います。
私は、主権者教育で最も重要なことの一つに、まさにこの「メディア・リテラシー教育」があると考えています。
 授業で政治・政策を取り扱う際も、多様なメディアから、多様な意見を取り上げることが求められます。そして、授業以外のところでも、生徒たちが情報を適切に評価・判断できるように「メディアの活用の仕方」を示すことも重要です。
 主権者教育では、生徒が自ら多様なメディアに触れ、情報を比較しながら、さまざまな角度から考えることを促すことが重要だと考えます。

■「一票」の意味―民主主義の本質を問う

――生徒が校外で政治活動に参加する場合、事前の届け出を義務化しようとする高校もあります。校内・校外にかかわらず、生徒が政治活動や選挙運動について、学校はどこまで関与すべきか、ということについてどのように考えますか。

(石田)…届け出制については、「生徒の安全確保」が目的とされており、生徒の政治的信条に踏み入らないように配慮することが求められています。しかし、届け出をする生徒の側にしてみれば、思想や行動がチェックされて進学や就職に影響が出るのではないかといった不安が生じ、それによって政治活動が萎縮することも十分考えられるでしょう。
 届け出制の是非を問うことや、校内での政治活動等の範囲を検討していくことも重要ですが、そもそも生徒が危険に晒されたり、違法行為に巻き込まれたり(あるいは違法行為をしたり)、学校教育に支障を生じさせるような政治活動等をさせないために、主権者教育があるわけです。
 私は冒頭で、授業における主権者教育では「民主主義とは何か」という本質を問うことも重要だと述べました。それは、「一票」が持つ意味や大切さについて考えることでもあります。自分の一票を大切にする人は、他者の一票も大切にします。「一票では何も変えることができない」と考える若者も少なくありません。一票で変わるか変わらないかより、その一票が自分自身の政治的意思の表れであり、一票を大事に扱うことは、生徒が自分という存在を尊び、大事にすることであるという自覚を持てるようにすることが、主権者教育に求められることではないかと思います。(了)

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
**********************

【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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