再掲載:「議会の本質」―尾崎咢堂言行録(20)

今回の参院選の結果、いわゆる「衆参ねじれ国会」が生じることとなった。

民主党は10議席減らして44議席、逆に自民党は13議席増やして51議席となった。たが、得票数でみると、比例区では約440万票、選挙区では約330万票、いずれも民主党が上回っている。つまり有権者は、自民党政権の復活を積極的に求めているわけでも、民主党政権の即退陣を求めているわけでもないように思える。

「ねじれ国会」では、野党との協力・連携が不可欠だ。そこでは、野党および国民に対して、これまで以上に丁寧かつ真摯な説明が与党に求められることは言うまでもない。ただ同時に、現政権の即退陣を国民が求めているわけでもないとすれば、野党の側にも「大人の対応」が求められることになるだろう。

この「ねじれ国会」を、『熟議の国会』として機能させること…つまり、互いの理念・政策(根拠や代替案も)を提示し合い、超党派による議論のプロセス・内容を国民の目につまびらかにすることが、与野党ともに求められているのではないだろうか。

「数合わせ」に執着しない、積極的かつ実質的な議論が行なわれるならば、この「ねじれ国会」は一転、民主政治の成熟を促すチャンスにもなり得る。

今年は、議会開設120周年という節目の年でもある。
以下に、当ブログで以前掲載した尾崎咢堂言行録「議会の本質」を再掲載する。
議会の本質は、「緊張した代表者間における実質的かつ充分な議論のプロセスと、(党利党略ではない)個々の良心に基づいてなされる多数決である」と尾崎は言う。

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「議会の本質」

一般人民から選ばれた代表が一堂に会して会議を開くのは、何のためであるか。

いうまでもなく、それらの代表が、どうすることが最大多数の最大幸福であるか、どうすれば国家の安全と繁栄が期せられるかという立場にたって、思う存分に意見をたたかわし、これを緊張した各代表が、何者にも縛られない完全に自由な良心を持って、議案の是非善悪を判断した結果、多数の賛成を得た意見を取り上げて、民意を政治に反映させるためである。

ゆえに真正の会議においては、少数党の言い分でも、正しければ多数の賛成を得て可決せられ、多数党から出した議案でも、議場の討論において、多数議員の良心を引き寄せることができなければ否決せられるのでなければならぬ。もし多数党の言い分なら何でも通り、少数党の言い分であれば何一つ通らないということが、会議を開く前からわかっているなら、会議を開くことは、全く無用無意味な暇つぶしである。

以上、『政治読本』(1925年・大正14年)より抜粋

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石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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