「熟議」と「参加」―菅政権の今後

9月14日、民主党代表選の投開票が行なわれ、菅首相が再選された。

小沢氏に、地方議員票と党員・サポーター票で大差をつけ、国会議員票も僅かだが上回っていた。

選挙戦の最中に行なわれた新聞・テレビの世論調査で菅氏が常に優勢だったことを考えると、この結果は民意をある程度反映したものといえるだろう。

しかし同時に、これはあくまで「(仕方なさと迷いを含んだ)消極的支持」の結果であることを、菅氏は忘れてはならない。

両氏の論戦の中で、小沢氏の菅氏に対する「雇用が成長を促すというのは逆ではないか」「雇用創出の具体策が欠けているのではないか」「官僚任せではないか」「無駄削減が不十分ではないか」といった指摘は、国民が菅政権に抱いている懸念そのものかもしれない。

菅氏はそれらの指摘を真摯に受け止めたうえで、政策の更なる検討と、国民への説明を積極的に行なっていくべきだ。

ところで、今回の論戦で菅氏は、「民主党らしさ」のポイントとして、「熟議」と「参加」を強調した。僕は、これはとても重要だと思っている。

先日、ある記者と話した際、この点を僕は評価していると伝えたところ、彼は鼻で笑いながら「菅さんは、そんな甘いことを言ってたんじゃ政権運営なんてできないよ」と言った。政治の裏を知っている、あるいはそれを飯のタネにしている記者にとって、「熟議」「参加」というフレーズは、あまりにも空々しく聞こえたのかもしれない。

「熟議」と「参加」は、本当に「甘い」ことなのか。僕は逆だと思う。むしろそれは、政治家にとっても、また国民にとっても極めて厳しいものではないだろうか。

政治家には、どこまでも深い政策論議と丁寧な説得のプロセスが求められるし、国民にも、政策論議をはじめ、自発的かつ積極的な政治・社会参加が求められる。それは、これまで慣れ親しんできた「お任せ政治」とは真逆のものだ。極言すれば「政治家がビジョンを国民に示す」のではなく「国民がビジョンを示し、政治家を通じてそれを実現させていく」ということだ。

もちろん一足飛びにそんな状況が生まれるわけではないが、(菅氏に限らず)民主党政権はそうした方向性を持った政権であることを、国民の側も自覚しておく必要があるだろう。

「熟議」と「参加」を強調した菅氏は、つまるところ国民に「今以上に政治を厳しく監視し、政策への批判と提案をどんどんして下さい。私たちが責任を持って説得して回りますから」と言ったのだ、と僕は理解している。

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石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
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石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
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