「教育制度と政治教育」―尾崎咢堂言行録(30)

「世界の中にあって日本はいかなる道を進むべきか」を常に考え、国のあり方を構想し、行動を起こしていった尾崎行雄

以下は、そんな尾崎が還暦を手前に、当時の若者の教育状況について語ったものだ。

知識を頭に詰め込むだけで、実践する行動力・活動性に乏しい若者を憂い、それを促す教育制度を批判している。

知識の修得から一歩進んで、国のあり方を問い、構想する気概と行動力を育むような政治教育の必要性を尾崎は説き続けた。

百年前の言葉だが、今にもあてはまるかもしれない。

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「教育制度と政治教育」

…今日の教育制度の下にあっては、かの科学的知識を与えることについて、あるいは遺憾がないであろう。…が、その完備充実した教育を受けておる現代の青年諸子は、果たしてその修得したところを実際的に遺憾なく応用しておるであろうか。深く私はその効果を疑うものである。

かの形式的教育の下に、この科学的知識を修得しておる現代の青年諸子にして、ただその少数者を除くの外は、つゆほども祖国の前途を考えることなく、ここに我が国民の安寧幸福をいかに増進すべきかをすら思わぬというのは、果たしてなぜであろう。

たとえ未だ学生生活にある青年諸子というといえども、もし国家的問題に逢着するならば、何事を措いてもその得失を静かに考えねばならぬ。そしてその推移に深く注意を払うべきである。…しかるにこの尊重すべき政治教育というものを少しも現代における青年諸子は受けておらぬ。ただ単に広汎の科学的知識の修得とさほどに必要とも思われぬ学科とに追われてこの上もなく忙しい学校生活を終えて、あるは利口者にはなるであろう。

しかしその修得した知識を十分に応用することも出来ねば、また青年らしい元気、活動性にも乏しいものとなるのである。

…今日のように無暗に科学的知識の注入のみ偏重して、ひたすらに青年諸子に過重の負担をなさしめることなく、断固として私は現代における青年諸子にその元気、活動性を振作すべき読書の時間を与えねばならぬと主張する。これ…実際上の効果の偉大なるものであることを固く私は信ずるものである。

以上、『現代の青年』(1915年・大正4年)より

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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