「知識経験の蓄積ほど尊いものはない」―尾崎咢堂言行録(32)

以前、取り上げたことのある尾崎の言葉―「人生の本舞台は常に将来に在り」。

この尾崎の人生観はパンフレット『人生の本舞台』として刊行された。
この小冊子は、多くの人間を元気づけてきた。
尾崎のもとには、このパンフレットを読んで自殺を思いとどまったという老人からの手紙が届いたという。

尾崎も、そして三女の相馬雪香(2008年逝去)も、まさにこの人生訓を体現した人物である。
尾崎は政治の場で。相馬さんはNGOの場で。
二人の信念や生きざまは、職業・立場・年齢を超えて、われわれ皆を勇気づけてくれるものだと思う。

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「知識経験の蓄積ほど尊いものはない」

人間は、齢を重ねれば重ねるほど、その前途が益々多望なるべき筈のものだというのが、私の最近の人生観である。

人間にとっては、知識と経験ほど尊いものはないが、この二つのものは年毎に増加し、死の直前が二つとも最も多量に蓄積された時期である。故に適当にこれを利用すれば、人間は、死ぬ前が、最も偉大な事業、または思想を起こし得べき時期であるに相違ない。

「死」は何人にとっても人生の終末であるが、その「死」ですら、楠木正成のごとき死に方もあれば、また権助の首縊りのごとき死に方もある。…されば人生の終末たる「死」ですら、その方法によっては、六、七十年の久しき間に与え得なかった功益を世間公衆に与えることも出来、また自己の名声を不朽ならしめることも出来る。

…右等の事実によって考える時は、人間は最後までその希望を継続しなければならない筈のものである。過去はすべて準備時代であって、人生の本舞台は、いずれの時においても現在以後にあるのだ。七十になっても、八十を越えても、なお今日以後をその本領と見て、その残年を送らなければならない筈だ。

〈昨日まで ためせる事も見し事も 明日往く道の しるべなるべし〉

以上、『人生の本舞台』(1935年・昭和10年)より

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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