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「善悪の標準」―尾崎咢堂言行録(41)

「最大多数の最大幸福」――これはベンサムの功利主義の考えである。尾崎は「善悪の標準」として、この言葉を用いた。

「個人の幸福の総計(総和)が社会全体の幸福であり、社会全体の幸福を最大化すべきである」という意味だが、そもそも幸福とは何か、それを量的に計算することは可能なのか、といった問題が出てくる。

尾崎は、それについて具体的には触れていない。ただ、社会全体(あるいは他者)を顧みない一個人の幸福(利益)の追求は、結果として社会も個人も不幸にすると指摘している。

これは、「自分と他者」「個人と社会」との繋がりを考える際の一つの規範を示しているといえるだろう。

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「善悪の標準」

敗戦後二年、戦争末期以来の荒みに荒んだ日本人の心理状態を見るにつけ、この頃しみじみ考えさせられるのは、一体日本人には善悪の標準があるだろうかということである。

私は思うのであるが、善悪の標準というものは、人生の幸福の増減如何にあるのではあるまいか。つまり人生自他の幸福を増すものが善であり、自他の幸福を減ずるものが悪であるというのだ。

今の世を見るに、私利私欲に走って他人の幸福を減らすようなことを平気でやっているものが多い。ところが社会というものは面白いもので、自分一個の利益のみを考えて他人の不幸を顧みようとしないならば、究極において自分も不幸に陥らせられる。たとえば自分の利益ばかりを考え、高く売ろうとして物を隠そうとする。社会はこれがために迷惑するが、結局自分自身も困るようになる。これ皆な無知の結果であり、無知が知らず知らずにその人を悪に転落させる。

おおきくいえば、暴動でも内乱でもすべてそうである。他人はこれがために非常に困るが、自己も社会の一員である以上、社会の不幸は自分にも巡って来るのだ。

議会人の行動などでも、自党さえよければ他はどうでもよい――そういうのが非常に多い。ところが他人の幸福を無視することは結局は自分をも不幸に陥れるのだ。各党とも自党の利益のみを考えて国全体の利福を考えない。

「自他の幸福を増すものは善、之を減らすものは悪」――と心得て行動すれば大体間違いはないと思う。

以上『敗戦雑考』(1952年・昭和27年)より


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石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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