「民主・小沢代表辞任」をどう生かすか―政局ではなく政策で

5月11日の読売新聞朝刊に、民主党・小沢代表に関する世論調査結果が掲載された。

それによると、小沢代表続投に「納得できない」が71%で、「納得できる」の22%を大きく上回った。他方、次期衆院選での投票先については、「自民党」が27%、「民主党」が30%と、民主党がやや上回った。

つまり、「小沢代表」という存在を除いた「民主党」に、(少なくとも自民党に対してよりは)期待を寄せているということになる。

その日の夕刻、小沢代表は辞意を表明した。

このタイミングで代表を辞任した小沢氏の思惑、またその後の代表選をめぐる党内の亀裂云々…などは、はっきり言って、国民にとってはどうでもいい。

重要なのは、今週内に決定されるであろう新代表が、どういう基本方針と政策群を語るか―それが現政権与党と比べてどうなのか―その一点だと思う。既存のマニフェスト(政権公約)をそのまま提示するのか、あるいは新代表として新たな特徴を打ち出すのか。

次期衆院選は、「マニフェストによる政権選択選挙」と位置づけられる。新代表によって語られるビジョンと政策が、国民にとって〝期待外れ・的外れ〟なら、衆院選で投票されないだけのことだ。

いうまでもないが、小沢代表の辞任は、西松建設の企業献金に絡んだ「政治とカネ」をめぐる問題に端を発するものであって、「政策」(の対立や失策)をめぐる問題ではない。だから、既存のマニフェストが大幅に変更・改廃される理由もない。ただ、今回の辞任(=「政治とカネ」問題)を教訓とするなら、やはり、そこの部分はマニフェストでいくら強調しても、しすぎることはないだろう。

すでに民主党は、マニフェストに企業献金の全面禁止を盛り込むことを決めている(実施時期など不確定な部分も多いが)。さらには、「地元のしがらみ=口利き=利権」を促す可能性をはらみ、新規参入の妨げにもなっている「世襲システム」をなくす方向も決めている。「政治とカネ」・「政治家の既得権益」問題への対応策を整えつつあるのだ。

とすると、今や〝ボール〟は完全に自民党に渡ったように感じる。自民党はどう投げ返すのか。西松建設の件では、自民党の首相・閣僚経験者、さらには現職大臣までもが小沢氏と同様の問題(と疑われる状況)を抱えていることがすでに報じられている。民主党は代表が辞任し、「政治とカネ」への対応策をマニフェストに盛り込もうとしている。それに対して自民党は…より厳格で実効性を伴う施策を打ち出すことができるか。

今回の小沢代表辞任とその後の代表選について、自民党または民主党が「自党にとってプラスかマイナスか」という政局絡みの言動に終始するようでは政治に未来はない。もちろん国民もそうした言動に惑わされるわけにはいかない。

重要なのは、「党にとって」ではなく、「国民にとって」あるいは「民主政治にとって」プラスかマイナスかという視点だ。

これを機に、「政治とカネ」問題への対応策を含む、マニフェストの中身についての与野党間での活発な論争・競争が行なわれることを期待したい。

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石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
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石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
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