「選挙人(有権者)の責任」―尾崎咢堂言行録(3)

以下は、これまでに引き続き、有権者(=選ぶ側)の意識のあり方、責任の重大さについて語った尾崎の言葉である。

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「選挙人(有権者)の責任」

立憲政治は元来人民の生命財産を安全ならしめるために工夫されたものだが、選挙人が政府に屈従するような代議士を選出すれば、斬捨御免(きりすてごめん)時代と同様な結果を生ずる。政府は乱暴な法律命令を作成し、議員はこれに賛成するからである。この場合には、政府は刀剣の代わりに法律・命令を以って人民を殺し、その財産をも掠奪する、現に支那事変以来政府に反対するもの数十名を監禁処罰したのは、その実例である。

前回の総選挙においては軍閥や官僚の専横を牽制監督し、以ってその生命財産を保護すべき総代、即ち番人を選挙するにあたって、全国選挙人の大多数は、却って軍閥・官僚が推薦したる候補者に投票した。これは盗賊に鍵を貸すと同様な振舞であって、その結果、遂に無法な戦争の禍害を進行増大せしめ、戦場と銃後において、戦死・餓死・凍死せしめた人員は、既に数百万人に及ぶべく、失われた財産は、ざっと二千億円の巨額に達し、産まれたばかりの赤ん坊もみな三千円たらずの借金持となった。その責任者は、第一が軍閥、第二が代議士であるが、この代議士の責任については、これを投票したところの全国の選挙人も、また責任の一半を免れることは出来ない。

…政治を政府の役人だけに任せておくと役人は自然我侭になり、人民の生命財産を勝手に処分し、人民に非常な迷惑を与えることになる。いずれも人民の生命財産を保護するために、憲法を制定し、その番人として議員を選挙させることに定めたのである。

…平和世界に隆興活躍すべき日本を建設するか、はたまた旧日本に類似する軍国主義の「官尊民卑」を再現すべきか。その分岐点は一に懸って選挙に在り。新旧選挙人の責任も、また重い。

以上、『敗戦雑考』(1952年・昭和27年)より抜粋


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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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