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「投票の心得 九ヶ条」―尾崎咢堂言行録(7)

尾崎行雄は、民主政治を「有権者中心の政治である」と言い、ゆえに「選挙中心の政治である」と言った。正しい政治は、正しい選挙によってのみもたらされる。「川上の選挙が濁れば、川下の政治も濁るのが当たり前である」と尾崎は言う。

尾崎は常に、投票する側である有権者の意識・行動の大切さを説き続けた。
以下は、今から60年以上前、自らの政治生活と日本の政党政治の歴史を振り返りながら、改めて書き記した「投票心得」である。その内容は驚くほど今に通じる。

もうすぐ衆院選の投票日。
参考にしてみてはいかがだろうか。

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「投票の心得 九ヶ条」

(一)何よりもまず、自分はいかなる政治を希望するかという自分の意思を、はっきり決めてかかることが大切である。選挙は国民の意思を国政に反映させるために行なわれるというが、有権者それ自身に政治的意欲がなければ、すなわち反映する本態がなくては、いくら投票しても意味がない。

(二)「出たい人より出したい人を」―これは先年東京市政刷新運動が起こったとき、先に東京市長を務めた人から標語を募ったことがある。その求めに応じて私が作った標語である。有権者のための政治である以上かくあるべきが当然であろう。

(三)金銭や、ご馳走や、因縁や、情実で投票しないのはもちろん、選挙の費用は、有権者の持ち寄りにしなければならないこと。一足とびにそこまで行けないとすれば、なるべく候補者に金を使わせないように工夫すること。

(四)買収・ご馳走・哀訴・嘆願など、一切の不正な選挙運動をする候補者には、絶対に投票しないこと。

(五)一から十まで政府に反対する議員も困りものだが、一から十まで政府に盲従する議員よりはましだ。常に政府党が勝つ選挙よりも、どちらかといえば、在野党の方がうけのいい選挙の方が、民主政治の趣意にかなっている。

(六)「人物よりも政党に入れよ」というのは、真の政党が存在していることを前提とした公式論で、まだ真の政党にまで発達していない現在の日本の政党(現在の日本の政党は、まだ私党・徒党の域を脱しきらない未熟な政党で、公党とはいえない…)を相手としては、無条件で賛成することはできない。しかし立憲政治が、結局政党内閣制度によって運営せられねばならぬのであるから、今の政党を向上させて、真の公党に育て上げる準備のためにも、各政党の政綱・政策をまじめに研究し、自分の希望するような政治をやる政党はどれか、よくよく見極めてから投票すること。

(七)演説会場その他あらゆる機会をとらえて、有権者は各政党または候補者に向かって、具体的な政策を明示するように要求しなければならない。…そうして政党本部で発表した政策と候補者の言質を箇条書きにして、台所の壁にでも貼っておき、その公約が実行せられた場合はその件の上に○を付け、公約にそむいた場合は×を付けるようにして、常に厳重に監視して、いやしくも公約を裏切った政党や議員に対しては、次の選挙の時に絶対に投票してやらぬことを覚悟すれば、政党も議員も、完全に有権者によって、リードせられるようになる。

(八)議場の内外で国会の品位をけがすような行為をするもの(下等なヤジや、殴り合いをするようなものはこの部類に入れる)には投票しない。当選後、公明正大な理由もなく、選挙民の了解も得ずに党籍を変更し、または他の政党に入党するようなものには投票しない。多数で横車を押し通した政党は、投票によってその横暴をこらしめてやるくらいの覚悟がなければならぬ。

(九)これまでの日本の選挙では、大臣や政務官になると、投票は必ず増えた。増えればこそ今でも英国製のビスケットとけなされる政務官の椅子を、ちょうどやせ犬が腐った肉を争うようにして奪い合う。これは官尊民卑の奴隷根性を暴露したものである。また多数党でなければ何もできないから、投票しても損だと考えることも、「長いものには巻かれろ」式の封建思想の名残であって、多数少数は有権者が投票して決めるのだという民主政治の「いろは」さえもわきまえぬものの戯言である。この官尊民卑と事大主義による投票は、今日以後の選挙では、きれいさっぱり清算したいものである。

 川上を濁しておいて、下流の清きを期することはできない。川上の選挙が濁れば、川下の政治も濁るのが当たり前である。腐った水にボウフラがわくように、腐った選挙からは自堕落政治のボウフラがわく。日本民主化の大建築は、正しい選挙の土台の上にでなければ建てることはできない。

以上、『民主政治読本』(1947年・昭和22年)より抜粋

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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