政権交代と既得権益―「しがらみのない政治」は可能か

18日、衆院選が公示された。

民主党は「政官業の癒着を絶ち、既得権益を排除し、しがらみのない政治の実現」を目指すと言う。

確かに、「政官業」による意思決定・再配分システムは、様々な既得権益を生み、社会全体に不公平・不公正・非効率(ムダ)をもたらしていることは事実だろう。

そのシステムは今に始まったことではない。戦後復興期から高度成長期にかけ、中央主導のもと、国土開発と産業育成を結合させながら経済の成長・発展を図る中で、確立・強化されたものだ。結果、そのシステムのもとで日本は発展を遂げた。一方、不公平・不公正・非効率も間違いなく拡大していった。

経済が急速に成長し、社会生活が満たされていく中、そのシステムがもたらす負の要素は、多くの国民の間で認識されつつも許容されうるものだったのかもしれない。だからこそ、自民党政権は生き延び、「政官業」システムは維持され続けたのだろう。

しかし、今や事態は異なっている。その「綻んだシステム」を許容できる余裕などない。それに、これまで許容し続けてしまったツケが、自分たちの生活に回ってきていることを実感した多くの国民は、本気で変革を望んでいるに違いない。

では、政権交代によって、民主党(中心の)政権が誕生すれば、「既得権益・しがらみ」は絶ち切れるのだろうか。

これまでのような、中央や業界団体を通じた再配分システムから、地域主体・国民主体の再配分システムへ変えていく―。それによって、これまで続いてきた既得権益は排除できるかもしれない。しかし、それに替わる新たな既得権益・しがらみが生まれる可能性もある。

ここで重要なのは、国民の側が、政権交代の可能性を常に維持しておくことだ。民主党であろうと、何党であろうと、国民の手で、いつでも政権は交代させることができる―。政権交代の常態化は、政治に緊張感をもたらせるとともに、既得権システムそのものを無意味化する。

そうした政権交代を前提として、(当ブログでも再三述べているが)政策実現可能な、責任能力を持った二大政党間における緊張感ある健全な競争が、ガバナンスと政策の質向上を促すだろう。

18日付けの朝日新聞の社説で、当ブログの尾崎咢堂言行録(「二大党対立の門出」)の一部が紹介された。その社説では、「二大政党・政権交代時代の流れを逆戻りさせることは許されない。・・・政権交代時代にふさわしい政党文化を日本でも育てなければならない」と述べられている。              

国民と政党の成熟による民主政治のバージョンアップは、一朝一夕に成されるものではなく、そのプロセスが順風満帆であるとも限らない。だが、そのことが、歩を進めなくてよしとする理由にはならない。             

今回の選挙が「大きな一歩」として歴史に刻まれることとなるか否か。
すべては国民の手に委ねられている。

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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