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「新聞事業の今昔」―尾崎咢堂言行録(8)

尾崎行雄は18歳の時、当時の帝都四大新聞の一つ曙新聞に「討薩論」を投稿。この記事が大きな反響を呼び、以後、尾崎は様々な新聞に投書。ペンの力をいかんなく発揮した。そして、21歳の若さで、(福沢諭吉の推薦を受け)新潟新聞の主筆となった。

尾崎は、政治家になった後も、新聞(メディア)の影響力の大きさ、役割の重要性を指摘。
以下は、1930年代後半、当時の新聞の実態、また、政治家と新聞(メディア)との関係に警鐘を鳴らしたものである。

タイトルに「・・・今昔」とあるが、その内容は、まさに「平成の今と当時」に書き換えても通じる気がする。

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「新聞事業の今昔」

論説記者が指揮権を、営業方面にまで振るう結果は、あまりよくなく、新聞事業は営業としては、いつも困難に陥った。新聞社の規模も、当時は甚だ小さかったが、近来は新聞社の最も大切な位置は営業者であって、営業的見地から、論説雑報すべてを指揮命令するような傾向になった。

従って新聞の成功は実に驚くべきほどで、今日主なる新聞社へ行ってみると、ほとんど別世界にでも来たような心持がする。私共がかつて従事したのと、同一業務を執るところとは思われないほど立派になっている。営業としては、実に立派な成功である。

昔の新聞は、報道よりも論説が主で、論説の如何が読者を惹きつけたのである。今日は国民の生活が忙しくなって、新聞をゆっくり読んでいられないためでもあろうし、読者の知識が向上して、論説に指導されるというようなことも、あまり見られなくなったためか、新聞は論説よりも報道を重んじるようになってきた。…

…新聞が営業本位、報道本位になったことは、新聞の品格からいえば議すべき点がある。あまり営業に重きを置き過ぎるために、論ずべきことも論ぜず、書くべきことも書かないで、社会の耳目としては遺憾の点が少なくない。

これは言論に対する圧迫干渉が激しいことが主な原因である。…近来の新聞は発行停止を受けないだけでも、往時の新聞に比べれば、圧迫は少ないといえるのだが、どの新聞もあまり独自の意見はないものの如く、甚だしきは当局に迎合する態度を採っている。

国際問題の記事など特にこの傾向甚だしく、外国へは少しも通用しない理屈を平気で書き立てるのみならず、その扱い方なども如何にも低劣である。また言論の自由擁護は新聞の使命であるのに、自ら自由の範囲を狭めるようなやり方を為している。…

…私は久しく新聞記者をしていたから、新聞の内情も人並みには知っている。故に新聞を利用するために、新聞政略を施すことは、他人よりも私にとっては容易であると同時に、それを施すことが厭(いや)になる。私はどこにいても、特別に新聞記者のご機嫌を取ったことはない。政府にいても、政党にいても、また市長在職中にも、新聞記者をば、すべて自然に放任して、一切ご機嫌を取らなかった。

然るに市政などに関係する人々を見ると、出入の新聞記者のご機嫌を取り、中には卑劣な手段をもってこれを篭絡(ろうらく)する者もある。そういう人々は、新聞紙上には立派に現れるが、新聞政略を施さないでおく者は、多くは悪しざまに書かれる。私の市長在任中は、新聞紙は終始悪しざまに書いたが、私は一切それに頓着(とんちゃく)しなかった。

以上、「日本はどうなるか」(1937年・昭和12年)より抜粋


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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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