「平和国家への道」―尾崎咢堂言行録(13)

尾崎行雄は、国家至上主義を「鎖国主義=殻に閉じこもるサザエ主義」と批判した。
日本が生き残るためには、狭隘な国家主義を捨て、国際主義・平和主義に基づく国づくり・人づくりが必要であると説き続けた。

尾崎三女の相馬雪香さんは、「世界はどんどん小さくなっている。その分、人の心は大きくなっていかなければいけない」と、よく僕に話してくれた。表現は異なるが、同じことだ。

相馬さんは、父であり政治家であった尾崎からそのことを学んだというより、むしろ自身がNGOとして世界各国・各地域で活動する中で確信したのだと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「平和国家への道」

私は、よほど前から国家主義は大国に有利で、小国には不利である。日本のような領土も狭く、産物も少ない国が真っ向から国家主義を掲げてゆけば、結局行き詰まるほかはないという道理を説いて、日本の国家至上主義者に警告した。

すると彼らは私を非国民だ、国賊だとののしった。しかし、国家至上主義者たちの指導が、どういう結果をもたらしたかを、はっきり認識した今の国民は、多分敗戦前よりもまじめに私の話を聞いてくれるであろう。

…こういっても、私は決して頭ごなしに国家主義を非難するのではない。あまりこれを高調すると、鎖国主義となり、自縄自縛、身動きがとれなくなる次第を警告するのである。国家主義は世界主義と調和のとれる程度にこれを主張しておくがよい。…

…どんな頑固者でも、今後の日本が、敗戦前のような国家至上主義、サザエ主義では救われないことはわかるであろう。それどころか、日本が本当の平和国家として立ち直る精神的基盤は、世界主義、国際主義、平和主義より他はない。…

…残念ながら、今日の日本にはまだ世界各国に向かって世界憲法の制定をすすめたり、世界の門戸開放を要求したり、世界一家の理想を高調したりする資格は薄い。しかしながら、やがてくるであろうその日に備えて、真の平和国家を築くことに専念しようではないか。断じて再び国家の名において行なわれる罪悪を、善事と考えることのないような、高尚な思想を養おうではないか。

以上、『わが遺言』(1951年・昭和26年)より抜粋

↓クリックをお願いします
にほんブログ村 歴史ブログ 偉人・歴史上の人物へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
**********************

【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード