本質を見誤っている鳩山首相の辞意表明演説

本日(6月2日)午前10時、民主党の衆参両院議員総会で、鳩山首相が辞意を表明。約20分にわたり、「思いのたけ」を述べた。

冒頭で、昨夏の衆院選と政権交代の意義に触れた後、辞任の理由として、「普天間問題」と、自身(および小沢幹事長など)をめぐる「政治とカネ」問題の2つを挙げ、「ご迷惑をお掛けした」と謝罪。最後に「よりクリーンな民主党になりましょう」と呼び掛けて、その演説は終わった。

なんとも「さらっ」とした印象だ。聞き終えた後、物足りない、釈然としない気持ちになった。なぜか。はっきり言って「中身」が無い、問題の本質が抜け落ちてしまっているのだ。

本来ならば、辞任の理由を述べる際、「行政府の長」として、さらに国民から300を超える議席を授かった「党の代表」として、今日までの鳩山政権の政策・運営にかかる全体的総括(成果も課題も)を、国民に対して詳細かつ丁寧に説明すべきだろう。

圧倒的支持を得て誕生した鳩山政権が退陣せざるを得ない原因を、「普天間」と「政治とカネ」の2点に矮小化した挙句、「さらっ」と説明するだけで終わってしまってよいのだろうか。もちろんその2点は重要であるし、辞意の「引き金」になったのも事実だろう。それでも過去8ヶ月間にわたって鳩山政権が取り組んだ、あるいは挑んだ課題の一部にすぎない。

つまり、ほかにも多くの失敗があっただろうし、また成果もあっただろう。重要なのは、そこにおける本当の原因を究明し、国民に明らかにすることだ。「普天間問題」に限らず、鳩山政権のどこに問題があったのか。政策内容か、交渉プロセスか、実施体制か。仮にガバナンスに問題があるとすれば、それは首相個人の資質によるものなか、あるいは構造的問題なのか。さらに言うと、政権移行プロセス自体に問題が有ったのか無かったのか。

そうした全体的総括と問題把握をした上で、政策・戦略の再構築を行なうことを国民に明示できたなら、今回の「辞意表明」は一転、新たな民主党の「決意表明」となったかもしれない。まさにチャンスだったのだ。

残念だが、鳩山首相は、最後の最後まで本質を見誤ったように思えてならない。

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石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
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