「選挙を根本的に改めよ」―尾崎咢堂言行録(24)

1890年の国会開設に伴う第1回総選挙から、連続当選25回、議会生活63年という記録を打ち立てた尾崎行雄

今でも尾崎行雄を取り上げて演説する国会議員は少なくない。

先日、某議員が、憲政記念館(旧尾崎記念会館)で開かれた勉強会で「尾崎翁は25回当選した。さすが憲政の神様。選挙の神様だ。私もぜひ、あやかりたい」と発言していた。

これには二つ誤りがある。

一つは、尾崎は「選挙の神様」と呼ばれたことなど一度もない。
そしてもう一つは、25回当選の故をもって「憲政の神」と呼ばれたわけではない。日本に真の民主政治を確立させようとした信念と命懸けの行動があったればこそ、世は彼を「憲政の神」と称えたのだ。

以下は、国民主権を謳った日本国憲法が施行されたその年、尾崎が国会で行なった、選挙についての演説の一部である。

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「選挙を根本的に改めよ」

旧憲法もよい憲法でありましたけれども、議会も政府もその運用を誤ったがために、ついにこの日本帝国を滅亡させるまでにいたった。主たる罪人は、もちろん軍閥、官僚でありますけれども、議員も大体これに賛成をいたし、また、全国人民は選挙によってそれらの議員に投票したのであるから、この亡国の手伝いをいたしたわけであります。

この度の選挙は、新憲法を行なうべき一番最初の働きを務めなければならぬ。…現に日本を滅亡に導いた同じ人間でありますから、魂も根本から入れかえなければならぬ。すなわち今までしたような選挙の仕方をすれば、滅亡のうえにさらに過ちを犯して再び生き返ることはできないという結果に落ちるのである。…つまり憲法の善悪よりも全国人民の善悪の問題なので、いかなるよい憲法といえども、運用その途を誤れば、国を滅ぼすことになる。…

しかして議員というものは…自ら立って候補者になって、どうかおれを選んでくれなどということは、民主主義の精神に背く働きであります。まことに全国の人民が魂の入った人間であるならば、選挙人の方が集まって適当な人を選んで、どうかおれたちの生命財産を、おれたちに代わって保護してくれといって、議員に頼むのが本当の筋道である。…

…また選挙民に向かっても、私は根本的に心がけを改めようと、今ここでも忠告しておりますが、これからはなお忠告するつもりであります。

第一に、金を余計に使う候補者には、もうそれだけで票を入れるなと私はいうのであります。おのれの金すらも無駄遣いする人間を、生命財産の監督者に選びますれば、人の金をも無駄遣いすることは請合いであります。…

第二には、縁故情実、殊に職権等を濫用して、票を集めるようなものには絶対に投票を入れるな。かくの如きものはやはり縁故情実によって、自分のためには如何なる国家の損害でも顧みずにやる資格を具えているものでありますから、さようなものには入れるな。

以上、「第92回議会での演説」(1947年・昭和22年)より

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プロフィール

石田尊昭

Author:石田尊昭
    尾崎行雄記念財団
    理事・事務局長
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【著書一覧】

石田尊昭
石田尊昭著『18歳からの投票心得10カ条』
(2016年)



尾崎行雄著/石田尊昭・高橋大輔編『人生の本舞台 復刻版』
(2014年)


民主政治読本 復刻版
尾崎行雄著/石田尊昭解説・編『民主政治読本』
(2013年)



田村重信編・石田尊昭・高橋大輔・高橋富代・小西孝実『尾崎行雄・咢堂塾 政治特別講座講義録』
(2013年)


石田尊昭 心の力
石田尊昭著『心の力』
(2011年)


50の言葉
石田尊昭著『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』
(2009年)


咢堂言行録
石田尊昭/谷本晴樹著
『咢堂言行録 尾崎行雄の理念と言葉』
(2010年)


石田著作
相馬雪香・富田信男他編
石田尊昭(年譜編纂)
『咢堂 尾崎行雄』
(2000年)

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